【岡山大学】光電変換色素NK-5962の網膜視細胞保護の分子機構を発見!

【岡山大学】光電変換色素NK-5962の網膜視細胞保護の分子機構を発見!
<発表のポイント>
・岡山市の株式会社林原(NAGASEグループ)が製造する光電変換色素NK-5962は光電変換色素を結合したポリエチレン薄膜の人工網膜(光電変換色素薄膜型人工網膜OUReP™)の部材です。
・NK-5962分子には光とは関係なく、アポトーシスによる網膜神経細胞死を抑制する作用があることを以前から見出していました。
・メッセンジャーRNA(mRNA)の網羅的発現解析(RNA-Seq)の結果、NK-5962の視細胞保護作用には網膜色素上皮細胞が分泌する色素上皮由来因子 (PEDF) と呼ばれるタンパクなどが関与することが明らかになりました。
・NK-5962は網膜色素変性などの神経変性の進行を遅らせる医薬品候補になる可能性があります。


◆概 要
 国立大学法人岡山大学(本部:岡山市北区、学長:槇野博史)の学術研究院ヘルスシステム統合科学学域(医)生体機能再生再建医学分野(眼科)の松尾俊彦教授、同大学院ヘルスシステム統合科学研究科の劉詩卉研究員、同学術研究院医歯薬学域(医)脳神経機構学分野の宮地まり助教および細谷修助教は、岡山市の株式会社林原が製造するNK-5962の視細胞保護作用を調べました。

 NK-5962は光電変換色素薄膜型人工網膜(OUReP™)の部材であり、その分子自体に光とは関係なく網膜神経細胞死を抑制する効果があることが分かっています。その分子機構を明らかにするため、NK-5962溶液を眼球に注射した網膜組織と対照液を注射した網膜組織のメッセンジャーRNA(mRNA)の発現を網羅的に調べました。

 その結果、網膜色素上皮細胞が分泌する色素上皮由来因子 (PEDF) と呼ばれるタンパクなどが視細胞死の抑制効果に関与していることが分かりました。

 本研究成果は、2021年12月10日、スイスの分子科学誌「International Journal of Molecular Sciences」に掲載されました。

 視細胞や網膜色素上皮細胞の変性疾患には治療薬がなく、NK-5962は疾患の進行を遅らせて視力を維持する医薬品の候補になると期待されます。


◆松尾俊彦教授からのひとこと
 劉研究員が医学系の宮地先生、細谷先生にmRNAの網羅的発現解析などを教えてもらい完成した研究です。NK-5962が色素上皮由来因子と結びついたのは大きな驚きでした。
 2018年~2020年、学術研究院自然科学学域の内田哲也研究教授が代表を務めた「特別電源所在県科学技術振興事業補助金(岡山県)」の分担研究の成果です。岡山の地の利を活かして、多くの研究者の協力で網膜神経変性を遅らせる治療薬を実現していきたいと思います


◆論文情報
 論 文 名: Effect of NK-5962 on gene expression profiling of retina in a rat model of retinitis pigmentosa.
 掲 載 誌: International Journal of Molecular Sciences
 著  者: Shihui Liu, Mary Miyaji, Osamu Hosoya, Toshihiko Matsuo
 D O I : https://doi.org/10.3390/ijms222413276
 U R L: https://www.mdpi.com/1422-0067/22/24/13276


◆詳しいプレスリリースについて
 光電変換色素NK-5962の網膜視細胞保護の分子機構を発見!
 https://www.okayama-u.ac.jp/up_load_files/press_r3/press20220128-4.pdf


◆参 考
・【岡山大学ヘルスイノベーション】失われた光を再び! 松尾俊彦教授と内田哲也准教授がAMED「令和3年度難治性疾患実用化研究事業」に採択
 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000051.000072793.html
・【岡山大学ヘルスイノベーション】光電変換色素薄膜型人工網膜(岡山大学方式の人工網膜 OUReP™)と網膜細胞間の神経伝達機構の解明に関する国際共同研究成果を発表
 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000160.000072793.html
・【岡山大学】機能性色素NK-4の網膜視細胞の保護効果を発見!
 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000239.000072793.html
・【岡山大学】光電変換色素NK-5962の神経保護効果を発見!
 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000243.000072793.html



 〇光電変換色素結合薄膜型人工網膜(OUReP/オーレップ)について(岡山大学プレスリリース)
https://www.okayama-u.ac.jp/up_load_files/press2019/press20190927-1.pdf



◆参考情報
・岡山大学大学院ヘルスシステム統合科学研究科(岡山大学病院眼科)
 http://okayama-u-opth.jp/
・岡山大学大学院自然科学研究科(工学系)高分子材料学研究室
 http://achem.okayama-u.ac.jp/polymer/index.html
・岡山大学病院
 https://www.okayama-u.ac.jp/user/hospital/
・株式会社林原(NAGASE グループ)
 https://www.hayashibara.co.jp/


◆本件お問い合わせ先
<研究成果に関するお問い合わせ先>
 岡山大学 学術研究院 ヘルスシステム統合科学学域(医)(岡山大学病院眼科) 教授 松尾俊彦
 〒700-8558 岡山県岡山市北区鹿田町2-5-1 岡山大学鹿田キャンパス
 TEL:086-235-7297(眼科医局)
 E-mail:matsuot◎cc.okayama-u.ac.jp
  ※◎を@に置き換えて下さい

<岡山大学病院との連携等に関する件(製薬・医療機器企業関係者の方)>
 岡山大学病院 新医療研究開発センター
 〒700-8558 岡山県岡山市北区鹿田町2-5-1
 下記URLより該当する案件についてお問い合わせください
 http://shin-iryo.hospital.okayama-u.ac.jp/ph_company/

<岡山大学病院との連携等に関する件(医療関係者・研究者の方)>
 岡山大学病院 研究推進課 産学官連携推進担当
 〒700-8558 岡山県岡山市北区鹿田町2-5-1
 TEL:086-235-7983
 E-mail:ouh-csnw◎adm.okayama-u.ac.jp
     ※ ◎を@に置き換えて下さい
 http://shin-iryo.hospital.okayama-u.ac.jp/medical/

<岡山大学の産学連携などに関するお問い合わせ先>
 岡山大学研究推進機構 産学連携・知的財産本部
 〒700-8530 岡山県岡山市北区津島中1-1-1 岡山大学津島キャンパス 本部棟1階
 TEL:086-251-8463
 E-mail:sangaku◎okayama-u.ac.jp
     ※ ◎を@に置き換えて下さい
 https://www.orsd.okayama-u.ac.jp/

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Source: PR最新情報

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