WinWinとNo Dealの具体的な意味は?交渉を成功させるポイントを詳しく解説
WinWinとNo Dealの具体的な意味は?交渉を成功させるポイントを詳しく解説
今日は交渉ごとのポイントをまとめてみました。
Win-Win or No Deal
「Win-Win(お互いに幸せな状態)の結果に至らないような交渉とは、妥結しない方がまし」、だから本質的な意味合いとしては、Win-Winの結果を目指すような交渉を心がけよという事です。
交渉というと、「食うか食われるか」「こちらが損した分、あちらがメリットを得る、負けるわけにはいかない」といったメンタリティで望まれる方も多いことでしょう。
事実、そうした要素の強い交渉(価値分配型の交渉)も存在します。しかし今は、交渉相手を敵と見るのではなく、一緒に問題解決を行うパートナーと見なし、創意工夫してWin-Winの結果を得ることが望ましい姿とされているのです。
「タフネゴシエーターではなく、グッドネゴシエーターになれ」という言い方で、こうした姿勢を強調される方もいます。
では、どうすればWin-Winの結果に至ることができるのか。これについては、次のタイトルでも解説しますが、ポイントは争点(交渉のテーブル上に上がる事項)の数を増やすことです。
例えば、価格交渉において、争点が価格しかないと思い込むと、これは自分が損した分、相手が得をするという状況が生まれます。交渉も敵対的なものになるでしょう。仮に妥結したとしても、一方に不満が残る結果として、両者の関係がギクシャクしかねません。
しかし、別の争点、製品の納期や支払い方法などを工夫することで、単なる価格交渉から脱却できれば、お互いがより納得できる妥結結果に近づける可能性が高まるのです。
売り手がキャッシュ化のタイミングについてこだわっていないのに対し、買い手が支払いのタイミングを少しでも遅くしたいと考えているのであれば、売買価格を多少高くする代わりに、支払いを半年の手形などにすることで、お互いの感じる効用を増すことが出来るかも知れないのです。
こうした結果は、対立型、価値分配型の交渉ではなかなか生まれてきません。一緒に問題解決を行う価値創造型の交渉だからこそ、お互いが幸せな妥結結果となり、結果として、事後の関係も良好なものにできる可能性が増すのです。
オレンジの皮か中身か
このタイトルの言葉は、次のような寓話から来ています。
■相手の欲しいものを先に見極める
姉と妹がオレンジを巡って言い争いをしていました。お互いにオレンジが欲しいと言い張るのです。そうこうしているうちに、鳥がそのオレンジを持ち去ってしまいました。
その後、確認をすると、姉はケーキ用のママレードを作るためにオレンジの皮が欲しかったのに対して、妹はオレンジが食べたいので、その実が欲しかったということでした。
ちゃんと話をすれば、2人とも欲しい物が手に入ったのに、それに気付かなかった結果として、2人ともオレンジを失ってしまったのです。現実の交渉は時間との戦いという側面もありますから、いかに早くお互いが重視しているものを見抜くかが重要なポイントとなります。
Win-Winの妥結結果を生み出す上でのセオリーは、「自分は重視していないけれど相手が重視しているもの」と、「自分は重視しているけれど相手はあまり重視していないもの」をお互いに交換することです。
こうすることによって、一見妥結範囲(これを交渉の用語でZOPA=Zone Of Possible Agreementといいます)が存在しないように見えるケースでも、妥結範囲が生じることがあるのです。
ある年俸交渉の例では、中途採用の人事部長が外向けの肩書きに非常にこだわる一方で、会社はそれほどこだわっていませんでした。
その結果、「名」を重視する人事部長は、「Chief HR Officer 兼 Chief Leadership Officer」という見栄えのいい肩書きを得たことで満足し、妥結範囲が生じたのです。
このケースでは、話を単純化するために、年俸以外の要素は一つだけを示しましたが、実際には、更に沢山の争点があることでしょう。勤務時間や権限、任される仕事内容、ストックオプションなどです。こうした争点については、先述したように、「自分は重視していないけれど相手が重視しているもの」と、「自分は重視しているけれど相手はあまり重視していないもの」をお互いに交換することができれば、妥結範囲は大きく広がっていくのです。
■国際交渉の場は常にWin-Win
実例では、(やや複雑な構造にはなりますが)例えば1970年の日米繊維交渉の妥結があります。
当時は1972年に予定されていた沖縄返還も絡んで日米関係は非常に緊張していました。繊維交渉の結果いかんでは、沖縄問題への悪影響も考えられます。
こうした中、日本はアメリカの要求をほぼ飲む形を取りました。その代わり、2000億円という巨額の補助金を国内の関係業者に補填する形でこの問題に決着をつけたのです(この妥結案を主導したのは当時の田中角栄通産大臣です)。
結果として、アメリカ側は繊維問題に関して経済的なメリットを得て、日本はアメリカとの緊張緩和という政治的なメリットを得たのです。
Source: PR最新情報