パブリック・アフェアーズに関するプレスリリースの作成・配信の3ステップと注意点
パブリック・アフェアーズに関するプレスリリースの作成・配信の3ステップと注意点
記事を書いた人:Youtube登録者30万人【MBA保有のPRプランナー】上岡正明プロフィール
この記事では広報・PR担当者の皆さんに向け、パブリック・アフェアーズに関するプレスリリース作成・配信の流れについてステップ分けして解説していきます。
「そもそもパブリック・アフェアーズとは?」という方から、「パブリック・アフェアーズをどのように始めて、どのようなプレスリリースを作成すればいいかわからない」という広報・PR担当者にまでおすすめできる内容となっています。
本記事では、パブリック・アフェアーズの概要、取り組むメリット、そしてパブリック・アフェアーズについてのプレスリリースを作成・配信するためのステップなどについてお伝えしますので、ぜひ参考にしてください。
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パブリック・アフェアーズとは?
まず教科書的な定義を述べると、パブリック・アフェアーズとは、「企業や団体が、社会や政府に対して、事業目標を達成するために働きかける活動」のことです。ただ、そもそも明確な定義がある言葉ではありません。
そして広報・PR担当者がこの言葉を捉えるのであれば、パブリック・アフェアーズには「社会と向き合って社会のルール、文化、風潮などを変える機能」と、「社会の価値観を正しく理解して、それを自社のために活かす機能」の2つがあると考えておくとわかりやすいです。
広報・PR部署がパブリック・アフェアーズに取り組むメリット3つ
それでは広報・PR部署がパブリック・アフェアーズに取り組むことの主なメリットを紹介していきます。まだ、パブリック・アフェアーズという言葉自体が腑に落ちていない方が多いと思いますが、メリットを確認しながら理解を進めていただければと思います。
メリット①:「自社の社会における存在意義」を伝えることができる
利益だけを追求している企業は社会的に認められにくいため、しばらくは「業績好調」が続いたとしてもどこかのタイミングで限界が来る可能性が高いです。具体的には、法律や規則の変化、社会の文化や風潮の変化、さらには競合他社の出現など。
そのため「自社の社会における存在意義」を伝えることで、「私たちはこのような社会を実現したいと思っています。」「そのためにこのような取り組みをしています・する予定です」などと発信することが大事なのです。
メリット②:「社会と向き合い、社会を正しく捉える意識」が社員に根付く
広報・PR部署や上層部などが率先してパブリック・アフェアーズに取り組み続けることで、徐々に「社会と向き合い、社会を正しく捉える意識」が他の社員にも根付いていくものです。
裏を返せば、すべての自社社員が「自分も自社も社会の一員であり、社会のためになる必要がある。」「そのために具体的に考え、取り組みをするべき」と考えていないと、結局のところ「広報・PR部署や上層部が勝手にやればいい」という理解になってしまう可能性が高いです。
それどころか「広報・PR部署は無駄なことをしている」と反感を買う恐れさえあります。これでは、「社会の変化や価値観を正しく捉える」どころではありません。
メリット③:業界にも好影響を与えることができる|自社のメリットにもなる
パブリック・アフェアーズの一環として具体的な活動をし、それについて世間や社会に発信し続ければ業界にも好影響を与えることができます。
例えば自社が属する○○業界において「○○業界における□□の製造過程で発生する排気ガスを○%削減する取り組み」をしてそれに関して発信すれば、影響を受けて「見習おう」と考え、実践する企業が増える可能性があります。
さらにそれが業界全体の取り組みにまで発展すれば、法律や条例などにさえ影響を与えることがあります。これこそがパブリック・アフェアーズの本質の一つです。
業界に好影響を与えることは自社のメリットにもなる
「業界のためにそこまでする必要があるのか」と感じるかもしれませんが、きちんと自社のメリットになるものです。まず、「パブリック・アフェアーズ的な取り組みをしている企業」、「最初に動き始めた企業」などの立ち位置になれば、大きなプラスイメージとなることでしょう。
さらに業界全体が良くなっていけば、その業界に属する企業(ここでは自社)も何かと動きやすくなりますよね。また、既存の取引相手・提携相手も好調になれば自社にも恩恵がありますし、今後も様々な企業と各方面で協力して事業を進めていきやすくなるかもしれません。
広報・PR担当者がパブリック・アフェアーズに関するプレスリリースを作成する3ステップ
続いては広報・PR担当者がパブリック・アフェアーズについてのプレスリリースを作成するまでの流れをステップ分けして解説していきます。
なおここでは主に「こういった取り組みをしますと、世間に公表する段階のプレスリリース」、言い換えると「発表の意味合いが強いプレスリリース」に関してお伝えしますので、プレスリリースの作成・配信時期に合わせてアレンジしていただければと思います。
ステップ①:まずは「自社の社会的存在意義」を言語化する
パブリック・アフェアーズに取り組むためには、まず「自社の社会的存在意義」を言語化する必要があります。そのために知るべきなのが「現在の社会の価値観」です。各種報道やSNSをチェックするなどして、「今、社会では何が重視されているのか」「何で困っている人が多いのか」「何を望む人が多いのか」などを整理してみましょう。
また、他社が「自社の社会的存在意義」に関してどのように発信(説明)しているかを調べて参考にするのもおすすめです。これについては他社のプレスリリースを多く読んだり、各種報道を調べたりするのがいいでしょう。なお優先するべきは「競合他社」「同業界他社」ですが、それ以外の企業も参考になるので余裕があれば調べてみてください。
その後、ここまで調査・整理してきた情報をもとに、経営陣などとも相談しながら「自社の社会的存在意義」を言語化します。具体的には、まず「社会の○○という問題(ニーズ、悩み……など)」を、「自社の□□によって軽減できる」というところから組み立て始めるとわかりやすいです。
ステップ②:通常のプレスリリースと同じく発信内容を決める
続いて、商品・サービスに関するプレスリリースと同じく、プレスリリースにおける発信内容を決めましょう。
ポイントは5W2Hを軸にすること。具体的には、「誰が(Who)」、「何を(What)」、「どこで(Where)」、「いつ(When)」、「どのような背景や目的で(Why)」、「どのように(How)」、「どのくらいの金額で・数量で(How much)」のことです。
例えば「弊社が」「○○イベントを」「□□(住所、範囲、建物名など)で」「12月1日に」「△△問題について一般の方にも知ってもらうために」「○○さんを講師に招いて(取り組みの特徴)」「参加費1000円で行う」など。
5W2Hを必ず埋めなければならないわけではありませんし、中には分類が難しい要素もありますが、意識しておくと整理しやすいです。
ファクトチェックとデータ提示を重視して「Why」に説得力を持たせる
5W2Hの中で特に重要なのは「Why」。つまり「この取り組みをする理由・背景・目的」の部分です。他の5W2Hも大切ではあるものの基本的に「単なる事実」を書くだけです。しかし、Whyの部分は同じ取り組みでも違いが出る要素ですし、「想い」が乗る分、読み手の共感を得るための大事なパートともいえます。
ただ、単に感情を乗せるだけでは説得力が出ないので、ファクトチェックとデータ提示を重視することをおすすめします。商品・サービスなどのプレスリリースでもこれらは重要ですが、なんといっても「商品・サービス自体」があるので、ある程度はごまかせてしまうものです(ごまかしてはいけませんが)。
しかし「パブリック・アフェアーズ的な取り組み」は無形になりやすいですし、率直にいって「怪しい」「都合の良いこと言ってイメージアップを狙っている」などと思われやすいので、いつも以上にファクトチェックとデータ提示に力を注がなければなりません。
ステップ③:プレスリリースを作成・配信する
おおまかな枠組みができたらプレスリリースの作成を始めましょう。上で決めた配信内容をプレスリリース用に調整しつつ、さらに代表者やイベント・プロジェクトの責任者のコメントやメッセージも載せることをおすすめします。
上でお伝えした通り「想い」を載せて説得力を高めることが大事ですので、代表者や責任者には例えば「環境保護のために弊社も尽力したい」ではなく、「なぜ尽力したいのか」を聞くようにしましょう。
企業公式ウェブサイトやSNSなどでも発信する
プレスリリースだけでなく企業公式ウェブサイトやSNSなどでも発信することをおすすめします。
例えば、企業公式ウェブサイトの比較的目立つところにパブリック・アフェアーズのコーナーを設けることで、「本気で取り組んでいる企業である」という印象を持ってもらいやすくなります。
また、方針によりますがSNSでは「短文かつライトな雰囲気」で発信することにより、企業公式ウェブサイトまでは見ない層や、気軽にSNSで遊んでいるくらいの層も取り込むことができるかもしれません。
パブリック・アフェアーズで一連の取り組みをPRしよう(まとめ)
パブリック・アフェアーズは比較的難しいテーマですが、広報・PR担当者目線では「企業の社会的存在意義」について発信しつつ、それに伴った「実際の行動」をする一連の取り組みのことであると理解しておくとわかりやすいはずです(辞書的な意味とは少し異なりますが)。
そしてまずは「現在の社会の価値観」や「他社の動き」などを調べて、自社の社会的存在意義について言語化してみるのがおすすめ。抽象的だったものを具体化すれば、「ではプレスリリースでは何を発信するべきか」が徐々に見えてくることでしょう。
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