プレスリリースの一斉配信を使う意味ほぼなし?業界裏話と「ネタ」の価値がゼロになる本当の理由
プレスリリースの一斉配信を使う意味ほぼなし?業界裏話と「ネタ」の価値がゼロになる本当の理由
広報担当者の皆さんは「ネタ作成→プレリリース作成」と考えるはずです。
そして、苦労して完成させたプレリリースを「一斉配信サービス」を使って配信する人が多いわけです。
しかし、一斉配信サービスを利用すると「プレリリースの価値がほぼゼロになる」と考えてください。
メディア関係者の立場になって考えましょう
メディア関係者は何のために仕事をしているのでしょうか。
「情報を発信するため」というのは確かにそうなのですが、もっと突っ込んで「いち早く情報を発信するため」と考えなければなりません。
そのためにどんな場所だろうと取材に来るわけです。ちなみに筆者は学生の頃かなりの僻地に住んでいたのですが、一回近所の畑で大火事が発生した際に、数多くのマスコミが詰めかけたことがあります。「こんなところにまで来るのか……」と火事自体よりも驚いた記憶があります。
さて、「プレリリース一斉配信」をすると、数多くのメディア関係者が「一斉」にプレリリースを読むことになります。
そして、その時点で「いち早い情報」ではなくなってしまうのです。
実力のない広報担当者は「あなただけにお伝えするのですが……」を、数百人に一斉に言ってしまうのです。
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「プレリリース一斉配信」がメディア露出に繋がった場合は他のメディアはどう考える?
ですが、非常に運がよければどこかのメディアが取り上げてくれることもあるかもしれません。
その場合、他のメディアは何を考えるのでしょうか。「ああ、あのメディアは記事にするのか!じゃあ、今度プレリリースが届いたらウチも記事にしないと!」と思うのでしょうか。
いいえ、そんな事はありません。せいぜい「へえ、あちらさんは記事にしたのか」くらいにしか感じません。
つまり、「プレリリース一斉配信からメディア露出に繋がったところで、直接的な発展性はない」という事ですね。
※ただし、大手企業・上場企業からのプレリリース一斉配信については、「大きな情報を一社だけ取り上げないこと」が致命的になるので、丁寧に扱われる可能性が高いです。
プレリリース一斉配信を送ってから広報担当がやりがちな最悪な行動とは?
プレリリース一斉配信サービスを利用すること自体が基本的に愚策ですが、その上で更なる失敗を重ねる広報担当が少なくありません。
それは、「電話での確認」です。つまり、「プレリリースをお送りしましたが、ご覧いただけましたでしょうか?」と聞いてしまうのです。広報担当からすれば「ベンチャー・中小企業のプレリリースなんてちゃんと見てもらえる可能性はかなり低いんだから、ダメ元で確認すべき」と感じるかもしれませんが、それは実は的外れです。
○プレリリースを受け取ってからのメディアの対応は3種類に分かれる
1:取材依頼(1パーセントほど)
2:保留・保存・他の記者に回す(10パーセントほど)
3:パッと見てボツ(90パーセントほど)
プレリリースを受け取ってからの記者の行動はだいたいこれくらいの比率に分かれると言われています。いかにそのまま取材依頼に繋がるケースが少ないのかが分かりますね。
ただ、「3」についても、「パッと見て」はいるわけです。
それもそのはず。1パーセントの「1」がどこに眠っているか分からないからです。
ですから、「どうせ見てもらえない」なんて捻くれてはいけません。
「ほとんど見てもらえる」と考えましょう。
○だからこそ「電話確認」は基本的にはNGです
大手メディアには一日に大量のプレリリースが届いています。
ですから、一斉配信であろうがなかろうが、「プレリリースは見ていただけましたか?」などと言われても困るわけです。
恐らく
「はい、見ました(多分誰かが……)。必要であれば(誰かが)こちらからご連絡差し上げます」ですとか、
「はい、届きました。ありがとうございます」くらいで電話を切られる場合が大半です。
どうしても気になるのであれば、1回くらいは電話してもいいかもしれませんが(それもすぐに忘れられるので)、その1回のせいで「ブラックリスト入り」する可能性もあります。
何度も何度も電話をかけようものなら、間違いなく「あの会社のプレリリースは見ないで捨てていいよ」という通達が社員に送られることでしょう。
○まとめ プレリリース一斉配信サービスが「ネタ」の価値をゼロにする
一斉配信プレリリースを送ることにはほぼ意味がありません。また、広報担当の取材不足で例えば「食品系の雑誌メディアに、電化製品のネタを送る」などしてしまえば、「ウチの雑誌の内容さえロクに調査していないじゃないか」と一発で嫌われてしまいます。
一斉配信プレリリース。これを使う時点で、なんとなく「数打てば当たる」と投げやりになってはいないでしょうか。
広報担当者として一番良くない姿勢です。
Source: PR最新情報